男性不妊症

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日帰り精索静脈瘤手術についてはこちら

無精子症に対する顕微鏡下精巣内精子回収術(MD-TESE)についてはこちら


男性不妊症

結婚して通常の夫婦生活を行って1年間妊娠しなければ不妊症と定義されます。
日本では結婚したカップルの約10組に1組が不妊症です。
不妊症と言うと女性の病気というイメージがまだ根強いですが、現在では不妊症の原因の半数近くに男性側要因があると考えられています。


精子自動分析装置・SQA-V  

男性要因の評価に関しては、やはり精液検査が重要になります。
当院では最新鋭の精子自動分析装置SQA-Vを導入しています。
不妊でお悩みの男性の方はもちろん、結婚前に精液を調べてほしいというご要望にもお答えいたします。
なお、この精密分析器による精液検査は特殊な機器を用いるため通常の精液検査よりも詳細な結果が得られますが、検査は自費診療とさせていただきます。

不妊症のご夫婦の男性側の診察と検査について

結婚してなかなか子供ができない場合、ほとんどのご家庭ではまず奥様が産婦人科を受診すると思います。しかし先にも述べたように要因は男性・女性で五分五分です。また精子所見に異常が見つかった場合は「特効薬」がないため治療に時間を要することもあります。このためせっかく奥様が長い時間をかけて検査や治療を受けたのに、最後の方で男性側の要因が見つかって仕切り直しということも実際にあるのです。男性側の診察・検査は、女性に比べるとはるかに簡単ですので、早めの受診をお勧めしています。

泌尿器科で最初に行うのは、陰部の診察、精液検査、ホルモン検査(採血)で体に負担のかかるものはほとんどありません。状況に応じて前立腺の診察や超音波検査などを追加することもあります。

男性不妊症の治療

精液検査を行って精子数(濃度)が基準を満たさない場合を乏精子症、精子運動率が基準を満たさない場合を精子無力症と言います。ほとんどの患者さんでは原因が不明ですが、精索静脈瘤をいう病気が見つかることがあります。これは主に左側の精巣に付着する静脈の還流障害によって起こりますが、治療することで精子所見が改善する可能性があります。原因不明の場合は漢方薬、ホルモン薬、ビタミン剤などの投与を試みます。

精子が全く存在しない無精子症では、更に踏み込んだ検査や治療が必要となります。無精子症に対する顕微鏡下精巣内精子回収術(MD-TESE)についてはこちらをご覧ください。

また精子を作る働きとは別に、勃起や射精の機能の問題が関与している場合もあります。詳しくは当院男性不妊症外来医師にご相談ください。

クロミフェン療法について

クロミフェンはもともとは女性の不妊治療に用いられる抗エストロゲン剤と呼ばれる薬です。
この薬は脳のホルモン中枢に作用して、精巣を刺激するホルモン(卵胞刺激ホルモン:FSH と黄体化ホルモン:LH)を増やす ことで精子や男性ホルモンを作る働きを改善します(図1)。しかし本剤も特効薬ではないので効果には個人差がありますし、 もともとFSHの数値が高い場合には効果はあまり期待できません。

実際のクロミフェン療法の効果を図2,3に示しました。これは院長・塚本の前任地である筑波学園病院でFSH正常値の患者様を対象にした臨床研究のデータです。総精子数は平均で約2倍に統計学的有意に増加しているのが分かります。一方、精子運動率には有意差は出ていません。

総精子数

精子運動率

副作用は倦怠感、ほてりなどホルモンバランスの変動による症状が出ることがありますが、いずれも軽微です。非常にまれですが目の霞みが出現することがあるため、車の運転には注意していただきます。
またクロミフェンは長期間継続すると女性ホルモンの作用が出てしまうことがあるため、4週間内服・1週間休薬のサイクルで服用します。なお本剤は男性に対しては保険診療の適応が無いため、お薬代は自己負担となります(1日1錠で約160円)。 

精索静脈瘤の治療

精液検査で精子数の減少や精子運動率の低下が見つかった場合でも、多くは原因が不明です。しかし男性不妊症患者さんの約3割で精索静脈瘤という陰嚢内の疾患が見つかることが知られており、これを治療することで精液所見が改善する可能性があります。

精索静脈瘤は精巣静脈の血液が精巣に向かって逆流を起こすために生じ、陰嚢内の違和感や疼痛などの自覚症状を伴うこともあります。精索静脈瘤はほとんどが左側に発生します。これは図1に示す通り、左精巣静脈は右側と違って腎静脈に一度合流し、更に左腎静脈は上腸間膜動脈と大動脈との間に挟まれる状態になる(ナットクラッカー現象と呼ばれます)ので静脈血の滞りや逆流が起きやすいと考えられています。静脈血が精巣に向かって逆流すると、精巣の温度が上昇したり、静脈血中の有害物質が逆流するなどの理由で精子形成能に悪影響を及ぼすと考えられています。また静脈瘤のある精巣内では細胞を障害する活性酸素が有意に増えていることも指摘されています。

精索静脈瘤は成人男性の約10%に認められますが、

全例が不妊というわけではありません

静脈瘤は立位での陰部の診察や超音波検査で診断が可能です。治療としては血流の滞りを改善させる作用のある漢方薬(桂枝茯苓丸)を使ったり、手術を行ったりします。手術治療では約7割の患者さんで精子数が増加し、約3割で治療をきっかけに妊娠すると報告されています。ただし静脈瘤の程度や事前の精液検査の所見などによって治療効果に差があるため、治療方針については専門医との相談が必要です。

精索静脈瘤の手術は逆流している精巣静脈の血流を遮断することが目的です。図2に示した通り、血流を遮断する(実際には血管を切断します)部位によって高位結紮術と低位結紮術に大別されます。低位結紮術は高位に比べて再発が少ないと報告されており、標準的治療法です。高位結紮術は開放手術と腹腔鏡手術があります。両側精索静脈瘤の症例では、腹腔鏡手術で行われることがあります。

当院で行っている、日帰り・精索静脈瘤手術について

    当院では全身麻酔による2通りの日帰り精巣静脈瘤手術を提供しています。
      ◎顕微鏡下精索静脈瘤低位結紮術(自費診療)片側35万円/両側49.8万円+消費税
      • 精索静脈瘤の標準的治療法です。基本的にこちらの方法をお勧めしています。
      • 手術時間は1−2時間です。左鼠径部(陰嚢上部)を2cm程度の横方向の創が出来ます。
      • 精索を創外へ引き出し、顕微鏡で観察しながら、多数の静脈を切断していきます。動脈とリンパ管は温存されます。
      • 高位結紮術で問題となる陰嚢水腫の発生率は低くなります。
      ◎精索静脈瘤高位結紮術(保険適応)約4万円
      • 手術時間は40分前後です。左下腹部に4㎝前後の横方向の創ができます。腹壁の筋肉を分け入って左精巣静脈に到達し、これを切断します。
      • 合併症としてリンパ流停滞による一過性の陰嚢水腫や静脈瘤の再発が挙げられます。静脈瘤の再発が認められた場合には低位結紮術を行うことになります。
      • 当院では腹腔鏡下精索静脈瘤高位結紮術は行っておりません。
      ◎共通事項
      • 全身麻酔は当院常勤の麻酔科専門医が行います。安全で快適です。目が覚めた時には手術は終了しています。
      • いずれの術式でも術後2~3時間様子を見て、問題がなければ帰宅します。翌日再診して頂き状態を確認します。
      • 精液所見の改善には最短でも2-3か月を要します。 詳しくは当院担当医にご相談ください。

      男性不妊症外来を受診される方へ

      ゆうかりタイムスに男性不妊症の話題を連載しています